30代未経験からDevOpsへ。これ、無理ゲーじゃない?
最近よく考えるんだけど、30代後半で未経験からDevOpsエンジニアになるって、正直どうなんだろう?って話。周りはもうキャリアのまとめに入って、シニアだのリードだの言ってる歳なのに、「はじめまして、ジュニアです」って。面白いキャリアを辿った人の話を聞く機会があって、その道筋がすごく参考になったから、ちょっとメモ代わりにまとめてみる。
結論から言うと、鍵は「社内転職」、もっと言うと「プロダクションサポート」からのステップアップだったみたい。いきなり外部の未経験求人に応募するのとは、ワケが違うんだよね。
ステップ1:くすぶってた「社内SE」時代
キャリアのスタートは、多くの人がイメージするような、キラキラしたIT企業じゃなかったらしい。どっちかっていうと、いわゆる「社内SE」とか「情シス」みたいな感じ。経理の机の下に潜り込んでLANケーブルを配線したり、プリンターのトナー交換したり。ああ、あの感じね。わかる人にはわかるはず。
でも、そこでただの便利屋で終わらなかった。Windowsサーバーだけじゃなくて、だんだんインフラ寄りの仕事が増えてきた。例えば、有償だったVMwareの代わりに無償のProxmoxにリプレイスしたり、拠点間のネットワークを安定させたり、地味な定型作業を自動化したり。この時点ではまだ「DevOps」的なやり方じゃなかったけど、確実に「Ops」側の経験を積んでたわけだ。
正直、こういう経験って「DevOpsやりたいです!」って人には遠回りに見えるかもしれない。でも、後から考えると、この「泥臭い」経験がめちゃくちゃ効いてくるんだよね。
ステップ2:「プロダクションサポート」っていう名の養成所
で、転機が訪れる。ある金融系の会社に「プロダクションサポート」としてジョインしたこと。これがすごく重要だったみたい。
プロダクションサポートって何するの?って話だけど、要するに本番環境の門番。システムの安定稼働を守る最後の砦みたいなチーム。
- 本番環境のシステムを監視して、異常があれば対応する。
- ユーザーからの問い合わせ(一次対応で解決しなかったやつ)のエスカレーション先。いわゆるL2、L3サポート。
- リリースの管理とか、インシデント管理もやる。
- 何かぶっ壊れたときに、どこを叩けば直るか知ってる人たち。
このチームにいる人たちの9割近くが、元システム管理者。特にLinux系の知識が豊富な人が多かったらしい。だから、求められるスキルも必然的にLinux、ネットワーク、監視(ZabbixとかGrafana)、Web技術…みたいな感じ。正直、ここに入った当初は「Linux?ログ?何それ美味しいの?」状態で、1週間でクビになると思ってた、なんて話も(笑)。
でもね、このチーム、実は社内の「人材輩出工場」だったんだって。システムの隅から隅まで、どう動いてるか一番理解してるのがこのチームだから。プロダクションサポートを辞めた人のほとんどが、開発、QA、そしてDevOpsみたいな他のチームに社内異動していく。これ、すごくない?外から門を叩くより、ずっと確実なルートじゃん。
ステップ3:知識を「使える」スキルに変える学習法
仕事に慣れてくると、欲が出てくる。「もっと深く知りたい」って。で、DevOpsのコースを受講することにした、と。まあ、よくある流れだよね。でも大事なのはここから。
研修で学ぶことって、どうしても総花的になりがち。Docker、Kubernetes、Ansible、クラウド…色々やったけど、広く浅くって感じ。で、ここで気づくわけだ。「これ、実践で使わなきゃ全部忘れるな」って。
じゃあ、どう実践する?「会社の仕事でやらせてください!」なんて、いきなり言えるわけない。そこで出てきたのが「ペットプロジェクト」っていうアイデア。でも、よくある「ToDoアプリ作りました」みたいなのじゃなくて、同僚に相談して、ガチの課題をもらったんだって。
これがすごい。例えば、「Ansibleで設定ファイル管理するプレイブック書いてみて」とか。Kubernetes、Git、Docker…ジュニアが知るべきことが全部詰まった、リアルなプロジェクト。しかも、チームがタスクを振ってくれて、進捗も見てくれる。時々ミーティングにも呼ばれて…まあ、当時は話の4割も分からなかったみたいだけど(笑)。
正直、この時期が一番キツかったらしい。本業のシフト勤務、研修の課題、家族との時間、そしてペットプロジェクト。20代ならまだしも、30代半ばでやるもんじゃないって。頭の回転も違うし、睡眠3時間じゃ体がもたない。でも、目標があったから走りきれたんだろうね。
独学と「社内ペットプロジェクト」って何が違うの?
これ、気になるところだと思うから、ちょっと比較表にしてみた。感覚的なものだけど。
| 比較ポイント | よくある独学 | 社内ペットプロジェクト |
|---|---|---|
| リアリティ | どうしても「練習問題」感が抜けない。架空のシナリオだし。 | ガチのやつ。実際に動いてる、あるいは動かす予定のシステムが対象。緊張感が違う。 |
| フィードバック | どこから?Stack Overflow?メンターでもいない限り、ほぼゼロ。 | 先輩から直接。「この書き方じゃダメ」とか、コードレビューがもらえる。これが一番デカい。 |
| 技術選定 | 流行りの技術をとりあえず触る、になりがち。なぜそれを使うのか?までは考えにくい。 | 「なぜうちの会社ではTerraformじゃなくてAnsibleなのか」みたいな、背景まで学べる。 |
| モチベーション | 孤独な戦い。飽きたら終わり。まあ、いつでもやめられるしね…。 | 「手伝ってくれてる先輩に申し訳ない」っていう、良い意味でのプレッシャーがある。簡単には投げ出せない。 |
| 実績として | 「自分で作ったポートフォリオです」って言える。まあ、悪くはない。 | 「社内の〇〇プロジェクトで、〇〇を担当しました」って言える。説得力が段違い。 |
ステップ4:ついにDevOpsチームへ。でも、ここが本当のスタート
ペットプロジェクトと研修が終わる頃には、DevOpsの主要なツール(Docker, Kubernetes, Git, Ansibleとか)は一通り触った状態になってた。で、ついに目標だったチームへの異動が叶う。
そう、晴れてジュニアDevOpsエンジニアに!ゴール達成!…かと思いきや、もちろんここからが本番。
ここでも会社の仕組みが面白い。異動後は「バディ制度」で、経験豊富な先輩が一人ついてくれる。もちろん、他のメンバーも見て見ぬふりするわけじゃなく、アメとムチで育ててくれる感じ。「よくやった!」って褒められることもあれば、「帽子が吹っ飛ぶくらい」怒られることもあったとか。でも、絶対に見捨てはしない。分かるまで徹底的に付き合ってくれる。
あと、新人の仕事として、チーム内のチャット対応とか、他部署とのやり取りを担当する。これによって、会社の仕組みをさらに深く理解していくわけだ。
で、DevOpsチームって結局何してるの?
「DevOpsとインフラチーム」って、なんか秘密結社みたいに聞こえるじゃん?サーバーのランプが明滅してて(クラウドだから見えないけど)、パーカー着た人たちがモニターに囲まれて「kubectl apply...」とか囁いてるイメージ。
やってることは、だいたいこんな感じらしい。
- サーバーへの魔法の儀式:開発者が作ったものが、ちゃんとユーザーに届くようにする。コマンドラインという名の杖を振るう魔法使い。不正な侵入者を防ぐ結界も張る。
- 自動化、あるいは「賢い怠け者」:同じ手作業を繰り返すのが大嫌い。スクリプトやツールで全部自動化する。
- コンテナはマトリョーシカ:Dockerコンテナにサーバー入れて、そのコンテナをサービスにして、そのサービスをまたコンテナに入れる…みたいな。IT界のマトリョーシカ人形。
- 監視とログとの添い寝:CPU、メモリ、ディスク使用率…測定できるものは何でも監視するのが大好き。何かあればログを抱きしめて原因究明。
こういうDevOpsの役割って、例えば海外のカンファレンスとか「State of DevOps Report」みたいな資料を見ると、開発から運用まで一気通貫で見るスーパーマンみたいに描かれがち。でも、日本の会社だと、まだインフラチームと開発チームが分かれてて、DevOpsエンジニアはその「架け橋」的な役割を担うことも多い。だから、会社によって仕事の範囲が全然違うのは、知っておいた方がいいかも。求人票の「業務内容」はマジで熟読すべき。
まとめ:結局、大事なことって何だっけ
この一連のキャリアチェンジの話を聞いてて、結局大事なのはいくつかのシンプルなことなんだなと思った。
まず、**臆せずに人に聞くこと。** 最高の情報は、それを「やってる」人が持ってる。ネットの記事もいいけど、生の声には敵わない。
それから、**学ぶのに遅すぎることはない、って信じること。** もちろん、20代の方が有利なのは間違いない。でも、30代、40代でも、強い目的意識があれば何とかなる。というか、何とかするしかない。
そして何より、**近道を探さないこと。** プロダクションサポートみたいな一見遠回りに見える経験が、後でめちゃくちゃ効いてくる。泥臭い仕事から逃げない。結局、DevOpsだろうが何だろうが、仕事ってそういう地道なことの積み重ねなんだろうね。
もしあなたが今、キャリアに悩んでて、新しい技術スタックの学習に苦労してるなら、まずは社内に目を向けてみるといいかもしれない。「プロダクションサポート」みたいな、システム全体を見渡せる部署はないか?そこで経験を積んで、次のステップに進む。そんなルートも、あるんじゃないかな。
あなたはどうやって新しい技術を学びましたか?もしよかったら、あなたの「ペットプロジェクト」の話も聞いてみたいです。
