最近よく聞かれるんだけど、「オウンドメディアって、結局なんなの?」って。なんとなくブログみたいなものでしょ、って思われがちだけど、もう少しだけ、根が深い話なんだよね。
重点一句話
いきなり結論から言うと、オウンドメディアは「未来のお客さんをファンにするための、自社で運営する畑」みたいなもの。すぐに収穫はできないけど、ちゃんと育てれば、ずっと実がなり続ける。そんなイメージかな。
そもそもオウンドメディアって何?
言葉通りだと「自社が所有するメディア(Owned Media)」ってこと。 ホームページとか、ブログとか、SNSアカウントも、広い意味では全部そう。 でも、最近マーケティングの世界で言われるのは、特に「自社で運営するブログやWebマガジン」みたいな、読み物コンテンツを指すことが多いかな。 要するに、広告費を払って他人の土地(ペイドメディア)に看板を立てるんじゃなくて、自分の土地を耕して、人を集めるってことなんだよね。
なんで、オウンドメディアは「しんどい」のか
ここからが本題なんだけど、「オウンドメディア始めました!」って言って、だいたいの会社が一年後には更新止まってる。なんでかっていうと、想像の10倍は地味で、成果が見えにくいからなんだよね。 「3ヶ月で結果出せ」って上司に言われても、正直、無理な話。 PV(ページビュー)も全然増えないし、問い合わせも来ない。半年くらいは、本当に無風。 この「成果が出ない期間」に耐えられなくて、みんなやめちゃう。特に中小企業だと、専任の担当者も置けないし、リソースもないから、もっと大変なんだよね。
成果を出すために、本当に大事な3つのこと
じゃあ、どうすればいいのか。いろんなノウハウがあるけど、突き詰めると、始める前に覚悟しておくべきことは3つだけだと思う。
1. たった一人の「あなた」に届けるつもりで書く
「ペルソナを設定しましょう」ってよく言うけど、もっとシンプルでいい。「うちの製品について、こんなことで悩んでる、〇〇さん」みたいに、具体的な一人の顔を思い浮かべる。その人に向けて手紙を書くみたいに、コンテンツを作る。不特定多数に向けた当たり障りのない文章は、結局誰にも刺さらないからね。
2. 「砂漠の期間」を乗り切る覚悟
さっきも言ったけど、最初の半年、いや1年は成果が出ないのが当たり前。 これはもう、そういうものだと割り切るしかない。広告みたいにお金で時間を買うことはできない。 この期間は、成果(KPI)を追いかけるんじゃなくて、「決めた本数を、決めた品質で、ちゃんと公開し続けること」だけを目標にする。 体制づくり、とも言えるかな。
3. ツールに踊らされない
アクセス解析ツール、SEOツール、MAツール…便利なものはたくさんある。でも、最初から全部揃える必要は全くない。最初はGoogleアナリティクスだけでも十分。大事なのは、ツールを使いこなすことじゃなくて、読者の悩みを解決するコンテンツを作ることだから。 ツールが増えると、それを見るのが仕事になっちゃって、本質を見失いがち。
ありがちな誤解と、本当のところ
オウンドメディアって、夢を見がちだけど、現実はかなり泥臭い。よくある勘違いを、表にまとめてみた。
| 項目 | ありがちな誤解 | 本当のところ |
|---|---|---|
| 目的 | すぐに売上を立てること、商品を売ること | 半年後に「あの会社、やたら詳しいな」って思い出してもらうこと |
| KPI(目標) | 初月からCV数(問い合わせ数)を追う | 最初の半年は「記事の本数」と「検索順位」。まずはお店の品揃えを増やす段階 |
| コンテンツ | 自社製品の宣伝、プレスリリース | 読者の悩みに9割、自社の宣伝1割。徹底的に役立つ情報を提供する |
| 期間 | 3ヶ月で効果を判断する | 最低でも1年は続ける覚悟が必要。長期的な資産作り。 |
| 運営 | 片手間で誰かがやればいい | ちゃんと担当者を決めて、体制を組まないと100%頓挫する |
海外と日本のちょっとした温度差
ところで、このオウンドメディアっていう考え方、海外、特にアメリカのほうが進んでる。HubSpotみたいな会社のブログを見ると、とにかく「SEOで集客して、見込み客(リード)を獲得して、ナーチャリングして…」っていう、仕組み化された話がすごく多い。 合理的で、すごくパワフル。彼らにとってブログは、顧客を生み出すためのエンジンなんだよね。
一方で、日本の場合、もちろんそういう側面もあるんだけど、「サイボウズ式」みたいに、企業の考え方や文化を発信してブランディングしたり、「北欧、暮らしの道具店」みたいに、ライフスタイルを提案してファンコミュニティを作ったり、っていう文脈も強い気がする。売上だけじゃない、もっとエモーショナルな繋がりを大事にするというか。どっちが良い悪いじゃなくて、この温度差を知っておくのは面白いと思う。
さいごに、思うこと
結局のところ、オウンドメディアは、魔法の杖じゃない。むしろ、すごく地味で、時間のかかる農作業みたいなもの。でも、ちゃんと土を耕して、種を蒔いて、水をやり続ければ、いつか必ず芽が出る。そして、一度育てば、広告みたいにお金を払い続けなくても、勝手にお客さんを連れてきてくれる「資産」になるんだよね。 すぐに結果を求めず、長期的な視点でじっくり取り組む。その覚悟があるなら、挑戦してみる価値は、間違いなくあると思う。
皆さんの会社では、オウンドメディア、もう始めてますか?それとも、これから?もしよかったら、一番の悩み、聞かせてください。
